読了 吉田修一『国宝』
上巻が『青春篇』、下巻が『花道篇』。
なんと言っても文体が「です。ます。」調というのに面食らいました。それも「ございます。おりました。」というふうです。高校生の頃習った「源氏物語」を思い出しました。
それでもすぐに慣れて物語の世界に入っていけるのは、筆力の賜物でしょう。
極道の世界から始まり梨園に舞台を移し、歌舞伎に生きる主人公の少年期から初老期までが描かれます。
高度成長期からバブル期を経て現在へと、時代の移り変わりと、それにあらがうことのできない極道の世界や芸能界もリアルに描かれ、誰かモデルがいるんだろうかと思わずにいられませんでした。
読んでいるうちに芸を極めようとする主人公の孤高の姿に切なくなってしまいました。
このブログへのコメントはmuragonユーザー限定です。