読了 伊藤比呂美『ショローの女』
伊藤比呂美さんのエッセイ集です。
『婦人公論』に連載されていたので、時折読んではいたのですが、まとめて読めるのが単行本の嬉しいところです。
アメリカから日本に帰り、早稲田大学で文学の講座を3年間受け持った伊藤さん。初めは熊本の自宅から東京に通う生活だったのが、後半はコロナ禍の中でリモート授業になり、熊本で過ごす毎日だったようです。
コロナ禍で孤独に苛まれる大学生に向ける眼差しの温かさ、私も大学生になって授業を受けたいとかなり本気で思ったぐらいです。
熊本の風土も魅力的。住人が知恵を出し合って建てたというコーポラティブハウスも興味があります。
アメリカから連れてきたクレイマー(犬)や何十鉢も買い求め育てている植物たちへの強すぎるほどの愛というか、エネルギー、私にはないものだけに憧れます。
私と同年代なのに、積まれた経験ははるかに厚みを持っていて、文章は軽妙でいて深く、時にはこちらの胸をえぐります。
私にとっては、60代をどう生きるかの先達である気がします。
"初老"ではなく"ショロー"がやはり当たり!
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