いちはつの花
いちはつの花咲きいでて我目には今年ばかりの春行かんとす 正岡子規
今年も咲いたいちはつの花。庭の片隅に、毎年ひっそりと咲き、気づかないうちに終わっている。この花を見ると、子規の歌を思い出す。
正岡子規の歌に出会ったのは、中学生の頃、国語の教科書。10代の私には「死」は遠いものだったはずだけれど、病に伏せながら花を歌う子規のことは、強く印象に残っている。
薄い花びらに、惜春の思いと子規の命を重ねたのは、10代の感傷でもあった気がする。
子規の次の歌も印象に残っている。
くれなゐの二尺伸びたる薔薇の芽の針やはらかに春雨のふる
瓶にさす藤の花ぶさみじかければたたみの上にとどかざりけり
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