読了 宮本輝『ドナウの旅人』
やっと読み終わりました、『ドナウの旅人』。
1983年から1年半の新聞連載の後、1985年に単行本として発刊されたというのだから、今から35年以上前の作品です。
物語は、ドナウ川に沿って約3,000kmを半年以上かけて旅する母と年下の愛人、娘とドイツ人の恋人の2組の男女を中心に展開します。
50歳の母の愛人が33歳、今の私は別に違和感は感じないけれど、娘の立場からしたらとんでもないことでしょうね。
旅は旧西ドイツに始まりオーストリア、ハンガリーを横切り最後にルーマニアの最果ての町にたどり着き、思いがけない結末を迎えます。ちょっとミステリのようでもありました。
最初から魅力的に描かれた人物も出てきますが、それよりも私の印象に残ったのは、浅はかで自分勝手に思えていた母親が人間的に成長していく姿でした。
また、社会主義国に生きる人々の生活や風土がリアルに描かれているのは新鮮でした。時代は東西冷戦の頃ですから、取材旅行は大変だっただろうと、変なところで感心してしまいました。
やっぱり宮本輝の文章は読み応えあります。
今回、読み終えるのに3週間かかってしまいました。法事もしたし、一歳半の孫の相手もあるしで、読書ペースがすっかりダウンしています。
続いて借りたのも宮本輝。いつ読み終えられるやら😅
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